アンコールはリビングで
「……じゃあ、目ぇ瞑ってろ」

耳元に落とされた、限界まで低く、かすれた声。

「……俺が、目ぇ開けられねぇくらい、めちゃくちゃに溶かしてやるから」

彼が私の唇を塞ぐ。
それは、いつもの優しいキスとは違う。私を完全に飲み込もうとするような、深く、貪欲なキスだった。

彼の手のひらが私の後頭部を包み込み、逃げ道を塞ぐようにして、さらに深く角度を変えて唇を重ねてくる。

「……んっ、……みなと……っ」

「……はぁっ、凪、……もっと……」

私が目を閉じると、視覚が遮断された分、彼の手の感触や吐息が何倍にも鋭く感じられた。

唇の隙間から滑り込んだ熱が、私のすべてを甘く溶かすように、深く、執拗に絡みついてくる。
甘い痺れが背筋を駆け上がり、私はシートに背中を預けたまま、彼の首に腕を回してすがりついた。

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