アンコールはリビングで
「……明日から……しばらく、会えなくなる」

何度も、何度も、息継ぎの隙間を埋めるようにキスを繰り返しながら、湊が掠れた声で呟く。

「……だから今夜は、俺の熱も、匂いも、全部……凪の身体の奥まで染み込ませておくから。……俺がいない間も、絶対に俺のことしか考えられねぇように」

「湊……っ、わたしも……っ」

深いキスが終わると、湊は私の腰をさらに強く抱き寄せ、私の首筋に鼻先を埋めて、すーっと深く息を吸い込んだ。

「……あー。……明日から、これ無しで戦える気がしねぇな」

外の世界では完璧なスターとして振る舞い、一切の隙を見せない彼が、私にだけぽつりと漏らした弱音。

先ほどまでの貪欲な顔から一転、プレッシャーと寂しさを隠そうとしないその不器用な姿に、私は胸がギュッと締め付けられ、彼の背中を優しく撫でた。

< 705 / 796 >

この作品をシェア

pagetop