アンコールはリビングで
手早く洗面所へ向かい、朝の支度を終えた湊が、ダイニングテーブルの椅子にドサッと腰を下ろす。

テーブルの上に並べたのは、特別に映えるようなメニューではない、いつもの我が家の健康的な和食だ。

もち麦を混ぜたご飯に、出汁をしっかりと効かせたわかめとお豆腐のお味噌汁。
昨日の夜から塩麹に漬け込んでおいた鶏肉の香草焼きと、ひじきと大豆の煮物。

「ほら、冷めないうちに。いただきます、しよ?」

「おう。……いただきます」

湊は箸を取り、まずは熱いお味噌汁を一口飲んで、ふぅっと長く息を吐いた。
それから、もち麦ご飯と塩麹の鶏肉を頬張り、目を細める。

「……やっぱこれだわ。外でどんだけ美味いもん食っても、凪の飯が一番落ち着くし、元気出る」

しみじみとそう言いながら、彼が私の作ったご飯で身体にエネルギーをチャージしていく様子を見るのが、私は何よりも好きだった。

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