アンコールはリビングで
「もちろん、最高のもん見せてやる……ありがとな。凪がいるから、俺はどこでだって頑張れる」
私の耳元で、彼が低く優しい声で囁く。
「日曜日で福岡のライブが終わったら、月曜の昼すぎには帰るから。……でも、帰ってきたらたぶん、俺、疲れて夕飯の用意とかできそうにねぇかも」
申し訳なさそうにぽつりとこぼす彼に、私は優しく彼の背中を撫でた。
「いいんだよ。帰ってきたら、とにかく休んでてね。私、月曜日のお弁当作るついでに、夕飯の準備も朝しておくから大丈夫だよ」
「……マジで助かる。いつもありがとな」
私たちは身体を離し、見つめ合って、そっと短いキスを交わした。
重いキャリーケースを引いてドアを開ける彼の背中を見送る。
「いってらっしゃい、湊」
「おう」
バタン、と重たい金属のドアが閉まる。
本来ならたった数秒の出来事のはずなのに、その瞬間がひどくゆっくりと、名残惜しいものに感じられた。
目の前から彼の姿が消えたドアに向かって、私は無意識のうちに右手を伸ばしそうになり、ハッとして宙で指先を握り込んだ。
(……だめだめ。まだ初日なんだから)
自分の中にある無意識の寂しさを振り払うように、私は小さく息を吐いた。
私の耳元で、彼が低く優しい声で囁く。
「日曜日で福岡のライブが終わったら、月曜の昼すぎには帰るから。……でも、帰ってきたらたぶん、俺、疲れて夕飯の用意とかできそうにねぇかも」
申し訳なさそうにぽつりとこぼす彼に、私は優しく彼の背中を撫でた。
「いいんだよ。帰ってきたら、とにかく休んでてね。私、月曜日のお弁当作るついでに、夕飯の準備も朝しておくから大丈夫だよ」
「……マジで助かる。いつもありがとな」
私たちは身体を離し、見つめ合って、そっと短いキスを交わした。
重いキャリーケースを引いてドアを開ける彼の背中を見送る。
「いってらっしゃい、湊」
「おう」
バタン、と重たい金属のドアが閉まる。
本来ならたった数秒の出来事のはずなのに、その瞬間がひどくゆっくりと、名残惜しいものに感じられた。
目の前から彼の姿が消えたドアに向かって、私は無意識のうちに右手を伸ばしそうになり、ハッとして宙で指先を握り込んだ。
(……だめだめ。まだ初日なんだから)
自分の中にある無意識の寂しさを振り払うように、私は小さく息を吐いた。