アンコールはリビングで
「何か、お探しのものはございますか?」

上品なスーツを着た女性の店員さんが、静かに声をかけてくれた。

「あ……はい。男性用の、ネックレスを探していて。あまり主張が強すぎなくて、でも、大人の男性が着けても使いやすいような、シンプルなものを……」

「かしこまりました。パートナーの方への贈り物でしょうか?」

「っ……はい。そうです」

私は小さく頷いた。
店員さんがいくつか提案してくれた中で、私の目を引いたのは、細身で繊細なプラチナのベネチアンチェーンのネックレスだった。

装飾は一切なく、ただチェーンの緻密なカッティングだけが、光を乱反射して静かに、けれど確かな存在感で輝いている。

(……これだ。これなら、湊のあの琥珀色の瞳や、雰囲気に絶対似合う)

私は指先でその冷たいチェーンに触れ、確信を持って言った。

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