アンコールはリビングで

Side B 共鳴するプラチナ

1. 祭りの後と、空っぽの部屋

『Sanctuary -The Encore-』初日、福岡。
鳴り止まないアンコールと、地鳴りのような歓声。

五万人もの熱狂を全身に浴びて、俺は間違いなく「神様」として、あのステージの真ん中に立っていた。

けれど、ライブが終わり、送迎の車に揺られてホテルの静寂に放り出された瞬間、その無敵の魔法はあっけなく解ける。

福岡市内の外資系高級ホテル、最上階のスイートルーム。

「……はぁ」

広すぎる部屋のソファに深く腰を沈め、俺は大きく息を吐き出した。

まだ耳の奥で、数万人の歓声の残響が鳴り続けている。
アドレナリンが引ききらない身体は熱を帯びていて、鉛のようにひどく重い。

テーブルの上には、気を利かせて島崎さんが手配してくれた、高級なルームサービスが並んでいた。

厚切りのテンダーロインステーキ、彩り豊かな温野菜、宝石のようなオードブル。

どれも完璧な焼き加減で、最高級の食材が使われている、間違いなく美味い料理のはずだった。

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