アンコールはリビングで

41 甘く更けゆく再会の夜

1. 焦燥のカウントダウン

月曜日の夕方。

大亜印刷のオフィスは、週の始まり特有の慌ただしさに包まれていた。
けれど、私の心はすでにここにはなかった。

デスクの端に置いたデジタル時計の数字が、一分、一秒と刻まれるたびに、胸の奥が騒がしく波打つ。
時刻は、定時まであと五分。

今日のお昼すぎ、福岡での二日間のステージを終えた湊が、東京の私たちのマンションに帰ってきているはずなのだ。
一分一秒でも早く、彼のいる場所へ戻りたかった。

「水沢さん、こんな時間にごめんね。ちょっといいかな?」

帰り支度の段取りを頭の中で組んでいたその時、課長が書類の束を手に話しかけてきた。
普段なら丁寧に対応するところだけれど、今の私にはそんな余裕は一ミリも残っていない。

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