アンコールはリビングで
2. キッチンでの甘い独占欲

「湊、疲れてるでしょ? すぐ準備するから、座ってていいよ」

長い再会の時間を終え、ようやくリビングに入ると、私は急いでキッチンへと向かった。

けれど、湊はソファに座るどころか、私の背後にぴったりとくっついて離れようとしない。

「……いい。こうしてねぇと、落ち着かねぇ」

そう言って、湊は私の背後から長い腕を回し、私の腰をがっしりと抱き寄せた。
首筋に彼の熱い鼻先が押し当てられ、すーっと深く息を吸い込まれる。

「ちょ、湊……っ、火を使うから危ないよ?」

「……離さねぇ。……この数日、ずっとこの匂いが足りなくて、死にそうだったんだよ」

低い、掠れた声が耳元を掠める。
私は困ったように笑いながらも、その強引な甘えがたまらなく嬉しくて、抵抗するのをやめた。

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