アンコールはリビングで
視線を巡らせると、ベッドの脇に、すっかりオフィスカジュアルの服に着替えてメイクを済ませた凪が屈み込んで、俺の顔を優しく覗き込んでいた。

「……凪……?」

「おはよう。……ごめんね、起こしちゃった」

凪が、ふんわりと微笑みながら俺の頬を撫でる。
その優しい手つきに、俺はすり寄るように目を細めた。

「俺、今日……」

「湊は今日、お昼から出掛けるんでしょ? 私、もう仕事行ってくるね」

「……あー、そうだったわ……」

その言葉に、俺は少しだけ意識を覚醒させて、ナイトテーブルの時計に目を向けた。
時刻は、とっくに凪が家を出る時間を指している。

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