アンコールはリビングで
「……いただきます」

一口スープをすすると、野菜の甘みと塩麹の優しいコクが、空っぽの胃袋にじわりと染み渡っていく。

もち麦ご飯も、最初は「なんだこのゴムみたいな飯は」なんて文句を言っていたはずなのに、今ではすっかりこの噛みごたえがないと物足りなくなっている自分がいる。

(……やっぱ、これだよな)

誰もいないリビングで、凪の手作りの飯を食う。
たったそれだけのことが、どれだけ贅沢で、俺の身体と心を回復させてくれるか。

ゆっくりと味わいながら綺麗に平らげ、今日のスケジュールを頭の中で組み立てると、食後のルイボスティーを飲み終わる頃には、完全に仕事のスイッチが入っていた。

今日の予定がすべてスムーズにいけば、夕方前には完全にフリーになるはずだ。

「よし……今日こそ、俺が夕飯作って待っててやるか」

いつも俺の身体を気遣って、疲れて帰ってきた俺のために完璧な飯を用意してくれる凪。
その恩返しというわけじゃないが、俺だって、あいつが喜ぶ顔が見たいのだ。 

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