アンコールはリビングで
「……豚肉と野菜の黒酢炒めにすっか。あとは、もち麦ご飯と……スープだな」

色鮮やかなパプリカ、ピーマン、玉ねぎ、そして質のいい豚肉をカゴに入れていく。
さらに、カニカマとほうれん草、卵を手に取った後、ふと中華素材のコーナーで足が止まった。

(……たまには、甘いもんもいいだろ。凪、喜ぶかな)

黒マスクの下で、自然とだらしなく頬が緩んでしまうのが自分でも分かる。

俺は、アーモンドエッセンスと牛乳、ゼラチン、そして彩りのためのクコの実をカゴに追加した。

誰かに見られたら「天下の早瀬湊がスーパーでニヤニヤしながらクコの実を選んでいる」とドン引きされるかもしれないが、凪の喜ぶ顔を想像したら、もうどうでもよかった。

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