アンコールはリビングで
まずは、一番時間のかかるデザートから取り掛かる。

鍋に牛乳と砂糖を火にかけ、ゼラチンを溶かす。
そこにアーモンドエッセンスを数滴垂らすと、キッチンに一気に甘く芳醇な香りが広がった。

本格的な杏仁豆腐ではない、牛乳とエッセンスを使った「なんちゃって杏仁豆腐」だが、味は悪くないはずだ。

粗熱を取り、ガラスの器に流し込んで冷蔵庫へ入れる。

次に、野菜を手際良くカット。
パプリカやピーマン、玉ねぎを乱切りにし、豚肉には下味をつけて片栗粉をまぶす。
特製の黒酢ダレは、黒酢に醤油、砂糖、少しのオイスターソースをブレンドして作っておく。

隣のコンロでは、鶏ガラスープの素をベースにしたスープを沸かし、ほうれん草と割いたカニカマを入れる。
最後に溶き卵をふんわりと回し入れれば、色鮮やかな中華スープの完成だ。

最後に、熱したフライパンで豚肉と野菜を炒め合わせ、作っておいた黒酢ダレを一気に絡める。
ジュワッという食欲をそそる音と共に、黒酢の酸味とコクのある香りが立ち上った。

「よし、完璧だな」

出来上がった黒酢炒めを大皿に盛り付け、冷蔵庫から固まった杏仁豆腐を取り出す。
真っ白な表面に、お湯で戻しておいた赤いクコの実をそっと乗せると、それだけで一気にお店のような見栄えになった。

料理を並べ終え、使ったフライパンやボウルをシンクで洗いながら、ふと息をつく。

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