アンコールはリビングで
(……温かく美味しく食べてほしいから、盛り付けは湊が帰ってきてからにしよう)

そう思って準備を整えた、まさにその時。
ガチャリ、と玄関のドアが開く音がした。

「ただいま」

ガチャリと扉が開く音と同時に、芳しい香りがリビングに流れ込んできた。

「おかえり、湊!ちょうど今、盛り付けを――」

キッチンから顔を出した私は、その光景に思わず息を呑んだ。

仕事帰りの湊が、両手いっぱいにいくつもの豪華な花束を抱えて立っていたのだ。
撮影や現場でお祝いで頂いたものだろう。

「……わりぃ。花、すげぇ貰っちゃってさ」

少し照れくさそうに、でもどこか疲れた顔で笑う湊。

色とりどりの大輪のバラやカスミソウ。
それらを抱えて立つ彼の姿は、あまりにも絵になりすぎていて、まるで映画かドラマのクライマックスシーンを見ているような錯覚に陥る。

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