アンコールはリビングで
(……かっこよすぎて、ほんとずるい……)

「湊、お疲れ様。……もう、ちょっと……不意にときめいちゃった」

「……は?……何言ってんだよ」

湊は顔を赤くして視線を逸らし、花束をリビングのカウンターに置いた。

華やかなバラの香りが一瞬強く漂ったけれど、そのすぐ後に、それを追い越すようにキッチンからの香ばしい匂いが彼の鼻をくすぐる。

「……朝からずっと美味そうな匂いしてんだよな」

「ふふ、今日はフレンチビストロ風のコースにしてみたの。ほら、手洗って着替えておいで?」

「おう、すぐ行くわ」

彼が着替えに行っている間に、私は手早く料理を皿に盛り付け、ダイニングテーブルへと並べていった。

< 783 / 796 >

この作品をシェア

pagetop