アンコールはリビングで
「……湊の音作り、生で聴くのがますます楽しみになっちゃった」

「……っ、ほんと凪は鋭いよな。聴く前から俺の狙いを見抜くとか……。俺と同じ熱量で音楽を見てくれてんの、マジで嬉しいわ」

湊は予想以上の専門的な返しに驚いたように目を瞬かせ、それから嬉しそうに口角を上げた。

「……そういや、帰りの車の中でさ。島崎さんと『デビューからあっという間に四年だな』なんて話して、ちょっとしみじみしちゃったわ」

「そうだね。本当に、色んなことがあったよね……」

想い出を語り合う、穏やかで幸せな時間。

けれど、私の胸の奥は、先ほどからずっと甘い焦燥感で満ちていた。

なぜなら、この後に控えている『食後の秘密』と、私が彼のためだけに選んだ『特別なプレゼント』を渡す瞬間が、すぐそこまで迫っていたからだ。
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