アンコールはリビングで
「……っ、っははは!! 凪、お前ほんっと……最高すぎるだろ……っ!」

彼は耐えきれないように吹き出し、お腹を抱えてソファで身を捩らせて笑い始めた。

「もー、笑わないでよ! 私、結構真剣に危機管理したんだからね!」

私はムッとして唇を尖らせ、両手で膝をペシッと叩いて抗議した。

「そりゃ、最近はファンのみんなが推しの記念日に『本人不在の誕生日会』とか言ってケーキをオーダーすることも多いから……」

言いながら、私はさらにヒートアップして少しだけ身を乗り出した。

「まさか本人の口に入るとは思われないだろうけど……! でも、万が一ってことがあるでしょ!」

私が早口で言い訳を重ねると、湊は「いや、ごめん……っ」と笑い涙を拭いながら、愛おしそうに私を見下ろした。

「まさか俺の身バレ防止のために、誕生日のプレートから名前消されるとは思わなくて……っ」

ひとしきり笑った後、彼の声のトーンがすっと低くなり、ひどく甘く、熱を帯びた瞳で私を真っ直ぐに射抜いた。

「……でも、そういうとこ。俺を守ろうとしてくれてる凪のそういうとこが、本当に狂うほど好きだわ。……ありがとな、凪」

「……どういたしまして。ほら、ロウソク溶けちゃうから、早く火消そう?」

私が急かして促すと、湊は「おう」と頷き、キャンドルに向かって、ふぅっと優しく息を吹きかけた。

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