アンコールはリビングで
2. 暗闇のハグと、限界の彼

二つの小さな炎がフッと消えた瞬間。

白く細い煙が立ち昇り、リビングは再び、窓から差し込む都会の夜景の光だけの深い暗闇に包まれた。

(……よかった。思いのほか、喜んでくれて……)

暗闇に目が慣れるまでの間、私がホッと胸を撫で下ろした、その時だった。

「……えっ」

ガサッ、と衣擦れの音がしたかと思うと、私の脇の下に、体温の高い大きな手がスッと差し込まれた。

「……きゃっ……! 湊っ……!?」

ソファに座っていたはずの湊に、私は床からひょいっと軽々と抱き上げられた。

そして次の瞬間には、ソファの上で開かれた彼の両足の間にすっぽりと落とされ、その広い胸の中に深く抱き込まれてしまったのだ。

腰に回された彼の逞しい腕は、絶対に逃がさないと言わんばかりに強く、私の身体をホールドしている。

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