アンコールはリビングで
私は高鳴る鼓動を必死に抑えながら、足元に置いていたハイブランドの紙袋から、小さくて上品な化粧箱を取り出した。

「これ……。湊に、プレゼント」

「……さっき言ってた渡したいものって、これのことか?」

湊は驚いたように眉を上げた。
ケーキだけでも十分すぎる贈り物だと思っていたのだろう。

彼は丁寧に、けれど少しだけもどかしそうにリボンを解き、箱を開けた。

中から現れたのは、緻密なカッティングが施された、プラチナのベネチアンチェーンのネックレス。
装飾を一切削ぎ落とした、純粋なプラチナの輝きが、室内の柔らかな光を反射して静かに瞬いている。

湊は言葉を失ったように、ただそのネックレスをじっと見つめていた。

< 798 / 858 >

この作品をシェア

pagetop