アンコールはリビングで
3. 空の上の焦燥、ただ一つの帰る場所へ
翌朝の月曜日。
福岡空港。
早朝の便で東京へ戻るため、俺たちは厳重な警備のもと、VIPラウンジで搭乗を待っていた。
早瀬くんは、深くキャップを被り、サングラスとマスクで顔を隠している。
周囲のスタッフやラウンジの係員に対しては、深く一礼し、「朝早くからありがとうございます」「お手数をおかけします」と、完璧な『早瀬湊』として上品に応対していた。
だが、係員が離れ、俺の隣のソファに腰を下ろした瞬間、彼から漂う空気の質がスッと内向きなものへと変わった。
「……島崎さん。明後日の予定ですが、全体的に少し巻きで進めてもらうことは可能ですか」
低く、少しだけ疲労の混じった声。
口調は俺に対するいつもの丁寧なものだが、サングラスの奥に隠された瞳が、一刻も早く東京へ戻りたいという焦燥感に駆られているのが分かる。
微動だにせずソファに深く腰掛けているが、その張り詰めた背筋が、彼の内側で静かに渦巻く想いを物語っていた。
翌朝の月曜日。
福岡空港。
早朝の便で東京へ戻るため、俺たちは厳重な警備のもと、VIPラウンジで搭乗を待っていた。
早瀬くんは、深くキャップを被り、サングラスとマスクで顔を隠している。
周囲のスタッフやラウンジの係員に対しては、深く一礼し、「朝早くからありがとうございます」「お手数をおかけします」と、完璧な『早瀬湊』として上品に応対していた。
だが、係員が離れ、俺の隣のソファに腰を下ろした瞬間、彼から漂う空気の質がスッと内向きなものへと変わった。
「……島崎さん。明後日の予定ですが、全体的に少し巻きで進めてもらうことは可能ですか」
低く、少しだけ疲労の混じった声。
口調は俺に対するいつもの丁寧なものだが、サングラスの奥に隠された瞳が、一刻も早く東京へ戻りたいという焦燥感に駆られているのが分かる。
微動だにせずソファに深く腰掛けているが、その張り詰めた背筋が、彼の内側で静かに渦巻く想いを物語っていた。