アンコールはリビングで
凪の仕事が終わる時間と、自分がフリーになる時間。
計算すると、彼女を迎えに行くのにちょうどいい空白ができる。

(……迎えに行くか)

思いついた瞬間、湊の口元に自然と笑みがこぼれた。
サプライズ。
疲れている彼女を驚かせて、少しでも喜ばせたい。 

……いや、違うな。

(土曜のバレンタインデートに続き、今日もサプライズとかしようなんて……)

湊は心の中で、自分自身に呆れるように苦笑した。

サプライズ好きなんて柄じゃないはずだった。
なのに、どうすれば彼女が笑うか、そればかり考えている。

(俺、凪のこと好きすぎんだろ……)

認めざるを得ない感情に、胸の奥が温かく、そしてくすぐったくなる。

そうと決まれば、残りの打ち合わせも巻いて終わらせるしかない。
愛おしさを原動力に変え、湊は居住まいを正し、真剣な眼差しでスタッフたちに向き直った。

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