アンコールはリビングで
二日間の大阪公演。
福岡での音響修正が功を奏し、サウンドの厚みは増し、彼のパフォーマンスは手がつけられないほどキレを増していた。
だが、俺は舞台袖で、少しだけ眉を寄せた。
(……早瀬くん、アドレナリンが出すぎてないか?)
福岡の時は、終演後に死に体のようにボロボロになっていた彼が、今回は全く疲れを見せない。
それどころか、興奮した瞳で「まだまだ行けますよ」なんて笑っている。
限界を超えていることに自分でも気づいていない、一番危うい状態だ。
(……仕方ない。『聖域の女神』に連絡を入れるか)
メッセージアプリを開き、ある一つの名前をタップする。
『凪さん』
早瀬くんの最愛の恋人であり、彼の唯一の『帰るべき場所』である女性。
俺が彼女のことを「水沢さん」という他人行儀な名字ではなく、「凪さん」と下の名前で呼ぶのには、実はちょっとした理由があった。
福岡での音響修正が功を奏し、サウンドの厚みは増し、彼のパフォーマンスは手がつけられないほどキレを増していた。
だが、俺は舞台袖で、少しだけ眉を寄せた。
(……早瀬くん、アドレナリンが出すぎてないか?)
福岡の時は、終演後に死に体のようにボロボロになっていた彼が、今回は全く疲れを見せない。
それどころか、興奮した瞳で「まだまだ行けますよ」なんて笑っている。
限界を超えていることに自分でも気づいていない、一番危うい状態だ。
(……仕方ない。『聖域の女神』に連絡を入れるか)
メッセージアプリを開き、ある一つの名前をタップする。
『凪さん』
早瀬くんの最愛の恋人であり、彼の唯一の『帰るべき場所』である女性。
俺が彼女のことを「水沢さん」という他人行儀な名字ではなく、「凪さん」と下の名前で呼ぶのには、実はちょっとした理由があった。