アンコールはリビングで
『Dawn』――夜明け。

かつて湊がリビングで私に教えてくれた、彼がまだ孤独の底にいた頃に、一人で迎えていた静かで孤独な朝のルーティンの音。

その旋律の圧倒的な美しさと、あまりにも近寄りがたい彼のカリスマ性に、私は彼の最初期からのファンでありながら、そして彼の最愛の恋人でありながら、全身の産毛が逆立つような鳥肌が立つのを止められなかった。

息をするのすら忘れてしまうほどの、絶対的なオーラ。

家で「もち麦ご飯が美味い」とだらしなく頬を緩めていた彼とのギャップが凄まじすぎて、胸の奥がキュッと締め付けられる。

やがて、静かなアルペジオの残響がフッと途切れ――。

次の瞬間、空気を鮮やかに切り裂くようなドラムの強烈なフィルインと共に、ステージ上の照明が一斉に爆発するように瞬いた。

湊がゆっくりとマイクスタンドを引き寄せ、ドームの最奥まで届くような、どこまでも上品で、澄み切った声を響かせる。

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