アンコールはリビングで
けれど。

一番のサビを歌い終え、二番のAメロに入った瞬間。

湊は弾いていたアコースティックギターを背中へと回し、スタンドマイクから離れて、ゆっくりとステージの先端へと歩き出した。

重ためのベースラインに合わせて、首筋から指先までしなやかに波打つような、ゆっくりとしたボディウェーブ。

そして、肩の力が抜けたお洒落で色気たっぷりのステップを踏みながら、流し目で客席を射抜き、マイクスタンドを指先で愛おしそうになぞるような艶かしい仕草を見せたのだ。

『ぎゃあああああっ!!』
『無理無理無理! 昇天する!!』

周囲のファンたちが、その洗練された剥き出しの色気に耐えきれず、次々と悲鳴を上げて崩れ落ちそうになっている。

ドーム全体が、一種のパニック状態に近い熱狂に包まれていた。

だが、私はそのど真ん中で、一人だけ全く別の理由で顔から火が出そうになっていた。

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