アンコールはリビングで
「どれだけ遠くへ行っても、どれだけ多くの方に声を届けても。僕が僕に還れる、誰にも侵されない不可侵の『聖域』。……最後に、そんな大切な場所と、皆さんの心の中にある大切なものを想って、聴いてください。『Sanctuary』」

静かなMCから、アルバムのタイトルトラックであり、今回のツアーの心臓部でもある『Sanctuary』の、優しくて包み込むようなイントロが流れ出した。

「吹き荒ぶ嵐も やがて穏やかに、凪いでゆく――」

Cメロで、湊の口から私の名前が紡がれる。

誰も気づいていない。これは、湊が歌うたびに私の顔が浮かぶようにと仕組んだ、世界で一番盛大な私への匂わせであり、重すぎる愛の告白だ。

私は、息を呑んでステージを見つめた。

そして、大画面のモニターに大写しになった彼の姿を見た瞬間、私の目から、ブワッと涙が溢れ出した。

激しいパフォーマンスで少しはだけた彼のシャツの胸元。

そこには、汗を吸って妖しく、けれど純粋な光を放つ、プラチナのネックレスが確かに輝いていたのだ。

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