アンコールはリビングで
(……この孤高の人を、私が支えなきゃ)

頬を伝う涙を拭うことも忘れ、私は右手で、自分の左手首にある、彼とお揃いのプラチナのバングルをギュッと強く握りしめた。

彼も今、同じバングルを左手首に着けてステージに立っている。離れていても、私たちは同じ印に触れて繋がっている。

手首に伝わる冷たくて確かな金属の感触が、私の心臓に彼の存在を強く訴えかけてくるようだった。

彼がどれだけ高く飛び立っても。

どれだけ遠くのステージで、神様として世界中から崇められても。

彼がすべての武装を解いて、ただの「早瀬湊」に戻れるあの『聖域』を、私が絶対に守り抜く。

「……湊。大好きだよ」

誰にも聞こえない声で呟いた私の誓いは、ドームを包み込む『Sanctuary』の優しくて壮大なサウンドの中に、静かに、けれど確かに溶け込んでいった。
< 886 / 910 >

この作品をシェア

pagetop