アンコールはリビングで
「……っ、湊……! おかえり、お疲れ様」

ドン、と。

私の胸に顔を埋めた彼の、驚くほどの重み。

私はよろけそうになるのを必死に踏ん張りながら、彼の大きな背中に両腕を回して強く抱きしめた。

「……ただいま。……やっと、帰ってこれた」

くぐもった、擦り切れたような声。

鼻を掠めるのは、彼がいつも纏っているウッディーアンバーの香水に、ステージでの汗と、一ヶ月のツアーを無事に乗り切った達成感、そして深い疲労感が滲んだ匂いだった。

「うん。よく頑張ったね。本当に、最高のライブだったよ」

私は彼を抱き留めたまま、その広い背中をゆっくりと、何度も撫でた。

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