アンコールはリビングで
「……」

伴奏も、マイクもない。

静まり返ったリビングに、彼本来の体温と、呼吸の音が混ざった、少し掠れた声が響き出した。

『眩しい光が 幕を下ろすとき
 着飾った言葉を そっと脱ぎ捨てて』

それは、アルバム『Sanctuary』の、最後を飾るアウトロ『再演 (Encore)』の歌詞だった。

今日のドームでは歌われなかった、本当に最後の最後を締めくくる曲。

『還る場所は ただひとつ
 音もなく 開かれる扉の先
 繰り返す 優しい呼吸
 ただそこにある 温もりの中へ』

CD音源ではアコースティックギターに乗せてハミングのように歌われているその曲を、彼は今、私の耳元で、私のためだけにアカペラで囁くように歌っている。

『飾らない音を 此処で鳴らそう
 終わりのない アンコールを』

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