アンコールはリビングで
最後の一節を歌い終えた湊は、私の瞳を愛おしそうに見つめたまま、甘えるように微笑んで告げた。

「……約束通り。俺の本当のアンコールは、凪の前でしか歌わねぇよ」

(ああ……)

ドームの五万人の歓声よりも。

どんなに煌びやかなスポットライトよりも。

今、私の膝の上で、私の体温に安心して身を委ねながら歌ってくれたこの小さな歌声こそが、私にとっての、そして彼にとっての、世界で一番美しい音楽だった。

「……うん。すごく、素敵なアンコールだった」

視界が滲んで、私の目からポロリと一粒の涙がこぼれ落ちる。

湊は手を伸ばし、私の頬を伝うその涙を長い指ですくい取った。

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