アンコールはリビングで
5. 穏やかな夜更けと、永遠への着陸

「……泣くなよ。俺が帰ってくる場所は、ここしかないんだから」

湊はそう言うと、私の左手首をそっと引き寄せた。

そして、そこに光る、彼とお揃いのプラチナのバングルの上に、自分の熱い唇をゆっくりと押し当てた。

冷たい金属越しに伝わってくる、彼の確かな愛情と、絶対的な安心感。

ただ、互いの存在がそこにあることを心の底から確かめ合い、安堵するような、深く静かな繋がりだった。

「……少しだけ、おうどん食べる? 出汁、効かせておいたから」

「……おう。ちょっとだけ食いてぇかも。体温まるし」

私が涙を拭って立ち上がると、湊も体を起こし、のそのそとダイニングテーブルへと移動した。

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