アンコールはリビングで
「……湊」

私は彼の手を握ったまま、少しだけ身体を擦り寄せ、彼のがっしりとした胸板に抱きつくようにして額を押し当てた。

私からくっついて抱きしめてあげると、湊はフッと息を吐き、私の背中に大きな腕を回してギュッと抱きしめ返してくれた。

「これからも、いろんなチャレンジが、湊には待ってるんだろうね」

彼の胸の鼓動を耳元で聞きながら、私はそっと語りかける。

「今日の『Melt』も、すっごく色っぽくてかっこよかった。……次はどんな曲なんだろう。一ファンとして、これからの早瀬湊の音楽が、すっごく楽しみだな」

私が元気付けるように明るい声で言うと、私を抱きしめる彼の手のひらに、少しだけ力がこもった。

「……ん。もちろん、もう新曲の構想も進んでるから」

頭の上から降ってきた声は、先ほどまでの感傷的な響きが消え、どこか誇らしげで嬉しそうなトーンに変わっていた。

「次も、これまでにない雰囲気の曲になりそうで。……できたら今度、一番に聴かせるわ。楽しみに待ってろ」

「うん。待ってる」

クスクスと笑い合うと、彼が私の腰に回していた手を、スッと動かした。

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