アンコールはリビングで
四年前、まだ何者でもなかった弟が、父親と決別して音楽の道へ進むと決めた日。

私たち兄妹は、彼にとっての「一番のスポンサーであり、一番のファンでいること」を誓った。

その弟が、今や五万人を動員する東京ドームのステージに立とうとしているのだ。

これくらい景気良くお金を落とさなくてどうする。

「さてと。開演まであと一時間か。俺はそろそろ中に入るわ」

「私も行く。じゃあ、また終わったらね」

私たちはそれぞれ、ファンクラブの最速先行抽選で自力でもぎ取ったチケット(電子チケットの画面)を確認し、入場ゲートへと向かった。

澄兄とは、そこで軽く手を振って別れたのだ。

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