アンコールはリビングで
心臓の鼓動のようなSEが響き、ステージの中央に一筋のスポットライトが突き刺さる。

そこに、アコースティックギターを抱えた、私たちの弟――早瀬湊の姿が浮かび上がった。

『キャアアアアアアッ!!』

五万人の悲鳴が爆発した瞬間。

「「湊ォォォォオオーーーッ!!!」」

さっきまで「兄妹で連番なんて恥ずかしい」と文句を言い合っていた私と澄兄は、五万人の誰よりも早く、そして完璧に息の合った特大のボリュームで、弟の名前を叫んでいた。

「澄兄! 見て! 湊、めっちゃ顔いい!!」

「あいつ、あんなオーラ出せたのか!? かっこよすぎだろ!!」

「最高! 早瀬家の傑作!! いけええええ!!」

弁護士の矜持も、外科医のプライドも、そこには一切なかった。

私たちはペンライトを狂ったように振り回し、お互いの肩をバンバン叩き合いながら、ただの『限界ガチオタ兄妹』と化して、弟の姿に黄色い(そして太い)声援を投げまくり続けたのだ。

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