アンコールはリビングで
3. 色気の衝撃と、見えない「未来の妹」

ライブ中盤。

照明がミッドナイトブルーに染まり、気怠いR&Bナンバー『Melt』のイントロが流れた時だった。

スタンドマイクから離れた湊が、センターステージでゆっくりとボディウェーブをし、客席を流し目で射抜く。

その、三十歳になったばかりの男の洗練された圧倒的な色気に、ドーム中の女性ファンたちが次々と悲鳴を上げて崩れ落ちていく。

「ちょ、待って澄兄!!」

「お、おう……なんだこれ……」

私たち兄妹も、別の意味で腰を抜かしかけていた。

「あの、小さい頃にFコードが押さえられなくて、澄兄に泣きついてたあの湊が……っ! あんな色気を!? 嘘でしょ!?」

「泉、落ち着け。……あいつももう三十歳だ。色々、大人の階段を登ったんだよ……」

「色々って何よ! 絶対あれ、凪ちゃんと色々あった顔じゃないの!! どうしてくれるのよ、お姉ちゃん直視できないわ!!」

「お前は弁護士なんだからもう少し言葉を選べ!!」

身内だからこその生々しい動揺で、私たちはコソコソ話し、変な汗をかきながらステージを見つめた。

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