アンコールはリビングで

51 二ヶ月越しの藍色

1. 火曜日の給湯室

六月三十日、火曜日。
大亜印刷のオフィスは、月末特有のざわついた空気に包まれていた。

見積もりの締めに、来月頭のコンペに向けた資料の追い込み。

午前中はモニターと睨み合ったまま、あっという間に過ぎた。

(……理紗、もう行ったのかな)

キーボードを叩く手を止めて、私はちらりとフロアの反対側に目をやった。昨日のお昼、隠れ家みたいなイタリアンで彼女が落としていった爆弾。

『明日、入籍する予定なのよ……!』

その「明日」が、今日だ。

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