アンコールはリビングで
「……おー。ちゃんと色ついてるじゃん。焼くと全然雰囲気変わるな」

「うん、すっごく綺麗な色! ……ねえ、こうやって並べると余計にわかるね。私の、やっぱりちょっと歪んでる。縁のところとか、微妙に波打ってて」

私が二つの器をテーブルに並べると、湊は私の小鉢のほうを手に取って、いびつな縁を指の腹でゆっくりとなぞった。

「それがいい味出してんだよ。凪らしくて、なんかほっこりする形だって、あの時も言っただろ」

「……そうかな。湊にそう言われると、そんな気がしてくるから不思議」

湊は自分の作った藍色のどんぶりを手に取って、しげしげと眺めている。

深い藍が縁に向かってすうっと薄くなっていて、光の当たる角度で色が変わっている。

ろくろを回している時から、彼の手にはもう完成した形が見えていたんだろう。

「湊のは、ほんとに綺麗だよね。迷いがなくて、かっこいい」

「……別に、大したもんじゃねぇけど」

ふい、と顔を背けて、湊がどんぶりをテーブルに置き、小さな声でぽつりと漏らした。

「……凪にいいとこ見せてぇだろ」

横顔の耳の先が、微かに赤く染まっている。

五万人を熱狂させる男が、私が「かっこいい」と言っただけで、こんなにも分かりやすく照れる。

そういうところが、可愛くて仕方ないのだ。

< 956 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop