アンコールはリビングで

Special track 8 まだ、誰も知らない夏 ①熱帯夜のプレゼンテーション

※この物語は、本編より約二年半前、湊のデビューから一年が過ぎた夏のエピソードです。

1. 溶けゆく休日

八月。

東京は、朝から暴力的なまでの日差しに晒されていた。

ジリジリとアスファルトを焦がすような熱気。

厚い遮光カーテンを引いても、その気配は私たちのマンションのリビングにまで、じっとりと忍び込んでくる。

もちろん、エアコンは朝から稼働しているし、設定温度もいつもより少し低めにしているはずなのに。

強すぎる外からの輻射熱のせいか、それとも視覚から入る強烈な日差しのせいか。

部屋の中にいても、なんだか空気の輪郭がぐにゃりと歪んで、すべてが溶けてしまいそうな錯覚に陥っていた。

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