アンコールはリビングで
何もかもが面倒くさくて、指先ひとつ動かすのすら億劫になるような夏の休日。

デビューから一年が経ち、少しずつ名前が知られ始めた湊にとって、こうして丸一日家で休めるのは本当に貴重だ。

だからこそ、今日くらいはどこにも出かけず、このままラグと同化して過ごすのが一番の正解なのかもしれない。

「……湊、なんか涼しいことでもしたくなるね……」

私は膝を抱えながら、天井をぼんやりと見上げてぽつりと呟いた。

「涼しいこと?」

寝転がったままの湊が、首だけをこちらに向けて、琥珀色の瞳で私をじっと見つめてくる。

「うん。……例えば、流しそうめんとか。……いや、でもあれって準備するのが暑いし、そもそも雰囲気だけで実際はそんなに涼しくないか……」

一人で提案して、一人で却下する私を見て、湊は喉の奥でふっと小さく笑った。

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