アンコールはリビングで
「……え、いやいやいや! 湊、何言ってるの!?」

私は完全に目が覚めて、勢いよく身を起こした。

「プールって……あなた、仮にも顔が知られ始めてるプロのアーティストですよね!? 無理でしょ! あんなに人がごった返してるところ!」

「別に、ごった返してるとこに行こうなんて一言も言ってねぇけど」

「いや、夏休みのプールなんてどこも満員御礼だよ! 水の中に入るのに、いつものキャップも変装もできないんだよ!? もし見つかったら、SNSで拡散されて、週刊誌にでも撮られたりするんじゃない? 島崎さんの胃が痛くなっちゃうよ!」

私は、彼が突拍子もないことを言い出したと思い、必死に正論を並べて窘めた。

顔出しをしていなかった動画の頃からのファンに加えて、この夏で彼を知った人が確実に増えている。

もし水着姿の彼が公共のプールに現れたりしたら、気づかれないほうがおかしい。

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