アンコールはリビングで
「……だいたい、プールに行きたいなんて、湊らしくないよ。人混み嫌いなのに」

私が呆れたようにため息をつくと。

湊は、口角をニヤリと吊り上げ、どこか不敵な笑みを浮かべた。

「……凪。世の中のトレンド、全然分かってねぇな」

「え……?」

「俺が、そのへんの市民プールとか遊園地のプールに行こうなんて言うわけねぇだろ」

湊はあぐらをかいた姿勢のまま、私の肩をぽんと叩き、低く甘い声で囁いた。

「……ここ何年か、『ナイトプール』ってのが流行ってんだろ? それ、行こーぜ」

「ナイト……プール……?」

「そう。都内の高級ホテルの屋外プールが、夜限定で大人のために解放されてんの。涼しいし、音楽もかかってるし、何より……」

湊はそこで言葉を切り、私の顔を覗き込むようにして、距離をぐっと詰めてきた。

「暗いから、周りにはバレねぇよ。……二人で、涼みに行こうぜ」

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