アンコールはリビングで
「……そう、かも……?」

私がためらいがちに頷くと。

「……っしゃ。交渉成立な」

湊は、難しい案件を通したときのような、いや、それ以上に、大好きなオモチャを手に入れた子どものような、最高に無邪気で色気のある笑顔を浮かべた。

「そうと決まれば、善は急げだ。今日の夜のカバナ、今すぐ押さえるわ」

「えっ、今日!? 今日行くの!?」

「当たり前だろ。俺の思いつきの行動力を舐めんな」

手元のスマートフォンで手際よく予約を取り始める彼の横顔を見ながら、私はふうっと小さく息を吐いた。

湊の前では、私の常識や正論なんて、いつも簡単に覆されてしまう。

でも、それがちっとも嫌じゃない。

(……ナイトプール、かぁ)

少しだけ鼓動が速くなるのを感じながら、私はこれから始まる『秘密の夜』への期待に、胸を膨らませていたのだった。
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