アンコールはリビングで
(……計画通りだわ)

俺は、キャップのつばの下で誰にもバレないように口角を上げた。

数時間前、自宅のリビングで、俺が突如として提案した『ナイトプール』。

凪は急に俺のスイッチが入ったとでも思っていたんだろうが、実は単なる思いつきの提案ではない。

発端は、数週間前に遡る。

音楽番組の収録の合間。
同じ楽屋ブロックの共用スペースで、ドラマで主演を張るような若手人気俳優が、取り巻きのスタッフたちに自慢げに話していた。

デビュー一年やそこらの新人でしかない俺は、挨拶がてら、その輪の端に立っていたのだ。

『ルミエールのナイトプール、VIP専用のカバナがあってさ。あそこ、完全にプライバシー守られてるから、彼女と行っても全然バレないんだよね。この前も行ってきたんだけど、雰囲気最高でさー』

その話を聞いた瞬間。

表向きの俺は、その俳優に向けて「へえ、そうなんですね。最近暑いから、プールは涼しくて良さそうですね」なんて、完璧な愛想笑いと毒にも薬にもならない相槌を返していた。

だが、脳内は全く違った。

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