アンコールはリビングで
「……ねえ、湊」

不意に、少し離れた場所から、周囲の目を気にするような控えめな小声で名前を呼ばれた。

「……湊、聞いてる?」

「……ん、ああ。わりぃ。ちょっと考え事してたわ」

俺は慌てて思考の海から浮上し、立ち上がって彼女の隣へと歩み寄った。

「……で。その二つで悩んでんのか」

凪の両手には、二着の水着が握られている。

自宅で俺の完璧なプレゼン(という名の洗脳)によってナイトプール行きを承諾した彼女は、いざ準備を始めようとした段階で、ハッと青ざめた顔をしてこう言ったのだ。

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