アンコールはリビングで
(……って、待て。俺、相当浮かれてんな)

俺は無意識に緩みそうになる口元を、慌てて引き締めた。

水着を一つ選ぶだけで、ここまで脳内で妄想を繰り広げて浮き足立っているなんて。

これじゃあ、初めて彼女とプールに行く男子高校生と全く同じじゃないか。

俺は心の中で自分自身に強烈なツッコミを入れ、咳払いを一つして、努めてクールな大人の男を装った。

「……どんなとこで迷ってんだ?」

「えっとね。こっちのピンクの方は、フリルがついてて体型もカバーしてくれそうだし、安心感があるんだけど……。ネイビーの方は、私の好きな色だしデザインも素敵なんだけど、ちょっと……布の面積が少ないというか、大人っぽすぎるかなって」

凪は少し恥ずかしそうに、ネイビーの水着を自分の身体に当てるようにして俯いた。

(……可愛い。マジで何着ても可愛い)

崩壊しそうになる語彙力を必死で繋ぎ止め、俺は元・白井不動産のデベロッパーとしての交渉スキルをフル稼働させることにした。

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