アンコールはリビングで
3. ネイビーへの誘導

「……なるほどな。確かにピンクのフリルは、体型カバーには最適かもしれない」

まずは、相手の意見を否定せずに受け入れる。

交渉の基本だ。

凪が「でしょ?」と安心したように頷いたところで、俺はゆっくりと、けれど確実なトーンで切り返した。

「ただ、今日俺たちが行くのは、真っ昼間のレジャープールじゃない。夜のラグジュアリーホテルのプールだ。……しかも、貸し切ったカバナの中」

俺の低い声に、凪が少しだけハッとして顔を上げる。

「あの空間は、照明もかなり落とされてるし、置いてあるソファなんかもダークブラウンとかのシックなデザインなんだよ。……そこに、その淡いピンクのフリルだと、少しだけ空間のトーンから浮いて見えちまうかもしれないな」

「あ……」

「昼間の太陽の下ならピンクも映えるだろうけど。間接照明だけの暗い空間だと、淡い色はぼやけて見えがちだろ?……逆に、ネイビーみたいな深い色の方が、あの照明の下じゃ圧倒的に肌が綺麗に見えるし、ホテルの高級感ある雰囲気にも完全にマッチする」

俺は、空間デザインという凪自身の専門分野に少しだけリンクするようなワードを散りばめながら、論理的にネイビーの優位性を説いていく。

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