幼なじみは不滅です!
「確か、瞬のことだったと思うけれど、大慌てで来たら、すっかりそのことを忘れてしまったんだよな」
「なにそれ?」
「まあ、大したことじゃないと思うぜ」

楽しそうに笑う隼人を見ていると、心がぽかぽかと温かくなる。
こうして三人そろうと、気合いが入る感じがするよ。
すると、隼人は力いっぱい、右手を突き上げた。

「なあなあ。これからみんなで、佐渡にカナッペを届けに行こうぜ!」
「えっ? でも……凛花ちゃん、今日、家にいるかな?」

もし、留守だったら……。
その気がかりを吹き飛ばすように、隼人はカラッと笑う。

「心配するなよ、こはる。瞬は、過去の俺だぜ。今日、佐渡が家にいることは分かっている」

隼人はドヤ顔で、ものすごく嬉しそうに言った。

「……そうなんだ。ほんとに、隼人が持っている『もう一人の自分を生み出す能力』はすごいね」

苦笑いをしながらも、あたしは隼人の誘いに乗っかることにした。
だって早く、凛花ちゃんにカナッペを渡したいのは事実だもん!
あたしたちは、足早に凛花ちゃんの家に向かう。
そして、インターフォンを押す。
あたしが用件を伝えると、玄関のドアが開いた。

「こはるちゃん、どげんしたと?」

凛花ちゃんがひょっこりと出てくる。

「うん。実は、凛花ちゃんが言っていたカナッペが手に入ったから持ってきたの」

あたしはバックから、カナッペが入った袋を取り出す。

「ああっ! これ、小倉のカナッペたい! なしてここに!?」
「その、譲ってもらったの……」

凛花ちゃんはあたしの手を取って、花が咲いたかのようにぱあっと顔を輝かせた。

「食べていいと?」
「もちろん。凛花ちゃんのために手に入れたんだから!」
「こはるちゃん、ありがとー。ばり好いとーよ!」

凛花ちゃんはあたしたちをおがむように、目をキラキラさせて言った。
……不思議だ。
凛花ちゃんの笑顔を見ていると、心が浄化されそうな気がする。
がんばって、手に入れて良かった。

「こはるちゃん、お礼したいけん。家に入りー」
「ありがとう」
「おう」
「おじゃまします」

その誘いを受けて、あたしたちは凛花ちゃんの家に上がった。
靴を脱ぎ、リビングへと入る。

「あら? 凛花のお友達?」

すると、凛花ちゃんのお母さんが出迎えてくれた。

「うん、そうっちゃ! 同じクラスの友達が、カナッペを持ってきてくれたんよ!」
「そげんやね。みなさん、ありがとう。少し待っとってね~」

凛花ちゃんがそう言えば、会話も弾む。
福岡の味覚は、午後の楽しみ方の話題も引き出した。

「みなさん、ゆっくりしていきんしゃい」
「ありがとうございます」

やがて、凛花ちゃんのお母さんが、カナッペといろいろなお菓子と紅茶を持ってきてくれた。
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