幼なじみは不滅です!

第七章 いつかの空

次の日の土曜日。
久しぶりに訪れた川原は、あたしたちを包み込むように優しかった。
瞬くんを飲み込んだ川と、同じ場所とは思えないくらいに。

「久しぶりに、この辺りに来たな」
「……うん」

隼人の言葉に、あたしは力なくうなずく。
瞬くんが亡くなってから、ずっと避けていた場所だ。
それでも、ここに来た理由は単純。

「ここに来たら、あの頃の瞬くんにまた、会えるんじゃないかと思った」

あたしはぽつりと素直な声音をこぼす。

「そんなわけないのにね……。でも、せめて、あたしたちは元気しているって、伝えたかった」
「……俺も思っていた」

あたしの言葉に、隼人は苦笑して、噛みしめるように声に出す。

「本物の瞬に会えたらいいなって、そうなったら嬉しいなって」

ぽつりとつぶやいた隼人の表情には、どこかやるせなさがにじみ出ていた。

「俺もさ、もう一度、ここで……三人で遊んだ川原で、俺たちは元気にしているって伝えたい……」
「……あの頃の僕か」

あたしははっとする。
振り返ると、瞬くんはまるで痛みをこらえているような顔をしていた。

「今の僕は隼人だから、隼人の想いは僕の想いでもある……。だから、僕も伝えたい」

瞬くんはそこで声を落とした。

「でも、偽物の僕が、本物の僕に伝えるのは……変なのかもしれないな」

少しさびしそうな表情。
今の瞬くんは、もう一人の隼人。
どんなにあがいても、『本物』にはなれない。
物理的な距離が、心の距離とは必ずしもならないように。
そのことを、瞬くんは改めて、実感しているみたいだった。

「僕がいなくなってから……いろんなことがあったよね」

空に溶けるような瞬くんの言葉が、あたしの耳をさわさわとくすぐる。

「本物の僕が、最後にここに来たのは一年前。でも、ここにいる僕は違っていて……。改めて、実感する。僕はやっぱり……偽物なんだと……」
「そんなことない!」

思わず、あたしは弾かれたように声を上げていた。

「過ぎ去った時は戻らない。……それでも、すべての終わりではないと思うから!」

そう言うと、確かな事実として自分の胸にすとんと落ちてくる。

「あたし、瞬くんが亡くなってから、思い出すことはすべて、悲しいことばかりって決めつけていた。そんなわけないのに……。楽しい思い出だって、たくさんあることを知っていたのに……」

一気に吐き捨てると、花が芽生えていくように、あたしの中に温かなものがゆっくりと積もっていく。

「瞬くん、覚えている? あの時の約束。『来年も、三人そろって過ごそうね』って」
「うん……」

あたしがそう口にすると、瞬くんは躊躇うようにうなずいた。

「小さいけど、大切な約束。それがあるから、また歩き出せる。迷わずに歩んでいけるんだ!」

きっと、今なんだ。
今――あたしたちは、あの川原に来ている。
あたしたちの心の中のものを晴らすなら、きっと――。
きっと、今だと思うんだ。
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