幼なじみは不滅です!
「仮初めの存在……」

そうつぶやいた瞬間、ズキンッと胸に痛みが走る。
今の瞬くんは、もう一人の隼人だ。
必死に否定しても、その事実は変えられない。

「……こはる、覚えている?」

顔を上げると、瞬くんが痛みをこらえるような表情を浮かべていた。

「『正義のヒーロー』は魔法の言葉。元気になるおまじないだって」
「おまじない……!」

あたしは瞬くんの言葉を反芻する。
思い出すのは、あの日の出来事だ。
まだ、瞬くんが生きていた春の日の出来事。
あの日、隼人と瞬くんは車にひかれそうになった猫を救ったんだ。

『ねえねえ、正義のヒーローってすごくかっこいいと思うよ!』

そう告げた言葉に力がこもる。

『なんだよ、それ?』
『困っている猫さんを助けるのって勇気が必要で、あたしはそういうのうまくできないから、すごくかっこよかった!』

隼人の微笑みが陽光を浴びてきらきらと輝き、あたしの胸は満たされた。

『だから、隼人と瞬くんは正義のヒーローだね!』

はっきりと自信を持って口にすると、それは自分の胸にすとんと落ちてくるような気がした。
終わった過去を思い出しても、現実は変わらない。
それは確かなことだ。
冷たい現実は、そこら中に息を潜めている。
だけど、あの魔法の言葉だけは違った。

「『正義のヒーロー』は魔法の言葉……」

それは未来がある前提の言葉だ。
あたしの視界の中で、希望という光がきらきらと弾ける。

「今の僕は、こはるを泣かせないために、ここにいる」

瞬くんは重し苦しくならないように、優しく背中を押す。

「本物とか、偽物とか関係ない。僕が僕の意志で、ここにいるんだ!」

あんまりにも空が青くて、あたしはまぶしさに目を細めた。
何だか青すぎて、現実感がないほどにきれいすぎて、確かめたくなる。
夢とうつつの境目を。

「僕はこのまま、生きたい! だから、全力で走り切るよ! こはると隼人と一緒なら、絶対に大丈夫だと信じているから!」
「……うん。あたしもこのまま、全力で走り切りたい!」

奇跡に等しい巡り合わせ。
その事実を身を持って噛みしめる。
表情を引きしめたあたしは改めて、おみくじ掛けのステータスと向き合った。

『現実を受け止めて諦める』
『現実を受け止めて諦める』
『現実を受け止めて諦める』

すると、先程と同じ選択コマンドが出てきた!
おみくじ掛けさんの決意は強い。
何かを認めさせなければ、動かすことは叶わないのだろう。

「現実を受け止める……」

あたしはぎゅっと拳を握りしめる。
だけど……。
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