獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢
 もう人と何かを揉めたり争うなんてしたくない……けれど、現代知識も持つ私は、それは同性の居る環境では難しいと感じていた。なんたって、そういう場では協調性を重視されるから。

 庭師なら大体男性で、ちゃんと仕事さえしていれば、文句は言われないだろう……と。

 私はその張り紙を壁から剥がして、指定された責任者の居る温室へと向かった。

「……その困ったね。お嬢ちゃん、見るからに良いとこの出だろう? 庭師なんて汚れ仕事、難しいんじゃないかい」

 私から庭師募集の求人の張り紙を手渡されてジョニーと名乗った男性は、困り顔でそう言った。彼の目線を辿った先にある私の白い手は、確かに日に灼けたことなどない。

「お願いします! 私は絶対に庭師が良いんです!」

 今は白い手が、日に灼けても良い。だって、私はもう庭師になりたいと思ってしまったのだから。

「まあ……本人の強い希望なら……良いのかね」

 そして……困り顔の庭師責任者に粘りに粘って、私はとある薬草園のある温室担当になることを勝ち取ることが出来たのだった。


◇◆◇


「……ブライス!」

「あ……ヴィルフリート……様」

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