転生したので好きなことだけしていたら囲われました
出逢い ①
「シャーロットお嬢様! 大変でございます!」
家族でハーブティーを楽しんでいる最中、
侍女のミアがノックも忘れて駆け込んできた。
「今日はどうしたの?」
そう言いながら、私はミアにもお茶を注いで手渡す。
ミアは一口飲み、いつものように深く息を整えた。
「あの……容姿端麗、品行方正、頭脳明晰、文武両道、完璧超人と噂高い
エバンス公爵家のマイロ様から、お手紙が届きました」
……その文言、必須なのかしら。
心の中で小さく首を傾げながら、銀のトレイに置かれた封筒を手に取る。
上質な紙。
複雑で美しい紋章。
色付けされたスズランのシーリング。
一目で分かる。
ただ者ではない。
ペーパーナイフで封を切り、目を通す。
要点は、こうだった。
十日後、エバンス邸で開かれるパーティーにて、
私――シャーロット・イリックのデビュタントを行うという。
(……どうして?)
エバンス邸は王都近く。
イリック家とは距離も、立場も、まるで違う。
面識もない。
手紙のやり取りも、これが初めて。
これは……どう考えても異例だ。
「お父様、公爵家のエバンス様から、このようなお手紙が……」
手紙を渡すと、お父様は読み終えたあと、低く唸った。
「……あの完璧超人と噂高いマイロ・エバンス様が、シャーロットのデビュタントを?」
やはり、その文言を口にされるのね。
続いてお母様も手紙を読み、静かに首を傾げた。
「接点がないのに……不思議ね。本当に前例がないわ」
お父様もお母様も、同じ結論に辿り着いているようだった。
――何か、理由がある。
本当は、静かに暮らすつもりだった。
デビュタントも、なくていいと思っていた。
けれど。
公爵家からの正式な招待を、
簡単に断れる立場ではない。
それに、イリック家にとって――
どちらが“良い選択”かは、考えるまでもなかった。
「お父様、お母様。これは、とても名誉なことです」
私は、はっきりとそう告げた。
「喜んで参加させていただきたいと思います」
「……では、私も同行しよう」
心配そうなお父様。
その気持ちは、よく分かる。
けれど――
「大丈夫です。私はもう十六歳ですから」
前世では二十五歳まで生きて、
人の表と裏も、少しは見てきた。
「イリック家の娘として、恥ずかしくない振る舞いをしてきます。
だから、どうか安心して送り出してください」
しばらくの沈黙のあと、
お父様は私を強く抱きしめてくれた。
「……無茶はしないでおくれ。私たちの可愛いシャーロット」
その腕の温もりは、
“昔も今も変わらない愛”を伝えてくれているようだった。
私も、そっと抱きしめ返す。
(大丈夫。私は、自分で選ぶ)
相手が誰であれ。
公爵家の次期当主であれ。
私の承諾なしに物事が進むのなら――
その理由を、きちんと聞くだけだ。
それが、
イリック家の娘としての、
そして私自身の、最初の一歩なのだから。
家族でハーブティーを楽しんでいる最中、
侍女のミアがノックも忘れて駆け込んできた。
「今日はどうしたの?」
そう言いながら、私はミアにもお茶を注いで手渡す。
ミアは一口飲み、いつものように深く息を整えた。
「あの……容姿端麗、品行方正、頭脳明晰、文武両道、完璧超人と噂高い
エバンス公爵家のマイロ様から、お手紙が届きました」
……その文言、必須なのかしら。
心の中で小さく首を傾げながら、銀のトレイに置かれた封筒を手に取る。
上質な紙。
複雑で美しい紋章。
色付けされたスズランのシーリング。
一目で分かる。
ただ者ではない。
ペーパーナイフで封を切り、目を通す。
要点は、こうだった。
十日後、エバンス邸で開かれるパーティーにて、
私――シャーロット・イリックのデビュタントを行うという。
(……どうして?)
エバンス邸は王都近く。
イリック家とは距離も、立場も、まるで違う。
面識もない。
手紙のやり取りも、これが初めて。
これは……どう考えても異例だ。
「お父様、公爵家のエバンス様から、このようなお手紙が……」
手紙を渡すと、お父様は読み終えたあと、低く唸った。
「……あの完璧超人と噂高いマイロ・エバンス様が、シャーロットのデビュタントを?」
やはり、その文言を口にされるのね。
続いてお母様も手紙を読み、静かに首を傾げた。
「接点がないのに……不思議ね。本当に前例がないわ」
お父様もお母様も、同じ結論に辿り着いているようだった。
――何か、理由がある。
本当は、静かに暮らすつもりだった。
デビュタントも、なくていいと思っていた。
けれど。
公爵家からの正式な招待を、
簡単に断れる立場ではない。
それに、イリック家にとって――
どちらが“良い選択”かは、考えるまでもなかった。
「お父様、お母様。これは、とても名誉なことです」
私は、はっきりとそう告げた。
「喜んで参加させていただきたいと思います」
「……では、私も同行しよう」
心配そうなお父様。
その気持ちは、よく分かる。
けれど――
「大丈夫です。私はもう十六歳ですから」
前世では二十五歳まで生きて、
人の表と裏も、少しは見てきた。
「イリック家の娘として、恥ずかしくない振る舞いをしてきます。
だから、どうか安心して送り出してください」
しばらくの沈黙のあと、
お父様は私を強く抱きしめてくれた。
「……無茶はしないでおくれ。私たちの可愛いシャーロット」
その腕の温もりは、
“昔も今も変わらない愛”を伝えてくれているようだった。
私も、そっと抱きしめ返す。
(大丈夫。私は、自分で選ぶ)
相手が誰であれ。
公爵家の次期当主であれ。
私の承諾なしに物事が進むのなら――
その理由を、きちんと聞くだけだ。
それが、
イリック家の娘としての、
そして私自身の、最初の一歩なのだから。