「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
いつの間にか私はジュウド様に抱きしめられていた。いきなりのことに驚き、ジュウド様から離れようとするがその腕を解くことは出来なかった。私がどんなにジュウド様の名前を呼んでも、私を抱きしめる腕は緩む気配が無い。そこでもう一度ジュウド様の名前を呼ぶと、ゆっくりとだがその腕の力を緩めてくれた。それと同じように、光り輝いていた水面の光も静まっていた。
「ジュウド様、どうされたのですか?」
腕の力を緩めてくれたとはいえ、ジェシカは未だにジュウドの腕の中にいた。
「あのジュウド様?」
何度も訪ねているうちに、ジュウド様がやっと口を開いた。
「君がどこかに消えてしまうかと思った……」
良かったと、心配したと、心底安心したといった様子でジュウド様が大きく息を吐き出した。
ジュウド様は私を抱きしめたまま、これはどういうことなのかと聞いて来た。そう言われても、ジェシカにもどうしてこの現象が起こるのかは分かっていない。
私にもよくわからないが、一ヶ月に一度満月の日にこのような現象が起きることを話すと、ジュウド様の腕が更に少しだけ緩んだ。自分は消えたりしないのだと、ジュウド様に話したが、それでもジュウド様の腕の中から逃れることが出来なかった。
「すまないが、もう少しだけこのままでいさせてほしい」